“道であそぼ!”

 TAROS コラム

 


 


 


みやたたろう(団長)の“古街道”への想い❶ ・・2019.09.01

 

■「道で遊び、道で学び、道で出会う――」
 はるか悠久のむかしから、先人たちは「道」をたどり獣を追い、道に沿って丘の上に登り、大河を眺め、道に沿う場所で出会い・集い・学び合い、助け合って暮らしてきました。いまや獣は追わずとも、何千年経っても人間の営みに「道」がないなんてことはありません。基本はずっと同じなのですね。
 かつて、山を越え谷を越えて遠い地域間を結んでいた道――。例えば、八ヶ岳周辺から多摩丘陵へ、武蔵野へ、数えきれない縄文時代の人たちがかつて何千年間も通い合い親戚にもなって交流していました。
縄文ロードの原型は「山の民」と「海近くに棲む民」の産物交換ルートです。常に旅と出会いの場というものが人間をリセットさせ、健全なコミュニティーを形作らさせる力があるともいえましょう。
――古道は素晴らしい。過去の壮大な人々の豊かな交流の記憶を刻んでいる「レコード盤の溝」みたいなもの。私たち現代人がそこを針となってひとたび歩き出せば、温もりのある美しき調べ(記憶)や先人たちからのメッセージが流れ出すはずです。


■これから――
 2020年に向かって、新たな出会いの場、遊びの場、学びと感動の場造りへのチャレンジが古街道団と協働して始まります。――その名前は『WAY』。
――ROADでなくWAYなのです。華道・茶道・剣道・柔道――みな人間の生き方には「道」という字が付いているように、人生を豊かにするために、若いうちから、道で遊び、道で学び、道で出会うことの価値をしっかりとイメージすることが出来たら、「点」ではなく「線」の思考が脳内に広がり、夢も広がります。
 熟年になってもそれをチョッとだけでも頭の隅に置いておくことで、淋しく孤独な時間を減らせるかなと。そして社会参加をあきらめないこと!――。
還暦を過ぎた私自身もそう実感できるようになりました。

 

■楽しい交流時間と社会貢献を――
 世代を超えて、「道で遊び、道で学び、道で出会う」ことの素晴らしさは、年齢に関係なく、若い頃から実感できるはず。だって、日本中と、また世界と繋がれるんですから。しかも過去(歴史時間)という縦軸も加わるから、長い間に積み上げられてきたその奥深さに感動できることが多くなります。
独身であっても、結婚して子供が出来ても、豊かな人生を送り、地域社会に何かしらの貢献をすることの喜びを分かち合えたらいいですね。

■むかし道は宝!

 見知らぬ土地、遠方を結び合うことを可能にするのは、もちろん現代の道でもそうなのですが、暮らしの中のごく当たり前の小径や、昔から使われていた旧道・古道などの「むかし道」はさらに人間の心に優しくアプローチしてくれます。


「フットパス」という言葉があります。それを知っている方も知らない方も、基本は、「道」で遊び、道で学び、道で出会う方法すべてを包括するもの――と理解すればいいわけなのですが、わかりやすく言えば、肝心なことは、地域再発見であり、自分の再発見を「道」から得られる――ということでもありますね。

 

 見知らぬ土地の人と交流する機会をどんどん作る、そこからいろいろなことが始まるのです。
いまやどんどん過疎化が進む地域が地方では急増していますが、みんなで地域との関わり方を考える機会をもっともっと創り、また開拓時代から長い間地域を支えてきたあまたの先人たちの知恵や仲間づくり・地域づくりの手腕に大いに学ぶべきことがたくさんあること、実感できたら素晴らしいですね。
 先人たちは、実は様々に現代人に対して応援メッセージを送っている――これは常に私が地方の遺跡探索から感じてきたことです。――それはまた「むかし道」をたどるわずかな時間の積み重ねから、誰でも実感できるのです。目新しいものばかりに取り囲まれてこそ安心できるような錯覚や呪縛から、現代人は早く飛び出さなくてはとも思うのです。


 そして地域の宝、むかし道=旧道や古道、古街道をむやみに壊さないで、もっと活用する時代が来たら素晴らしい。
常に外に向かって開かれていること、当団が壁も関所も作らない地域史活用の広場づくりを目指していることは16年前の設立時からまったく変わっていません。


 2020年は次世代に繋ぐ時代の始まり。大いに夢見る若き世代が、「今と未来という時間軸だけではなく、“むかし”という大切な時間の価値が加わることで始めて賢人が造る社会づくりへと進める」ということを認識できる時代へ――――これからも、世代を超えた皆様の、益々の応援と参加を熱望しています。

 


HPのリニュアルに寄せて ・・20190901


9月1日からHPがリニュアルオープンしました。


 これまで16年間、HP更新にガンバって下さった金子功さんと奥様には、心より厚く御礼申し上げます。大変なご苦労の期間をいつも笑顔で続けてくださいました。お陰様で、団員のみなさんや、はじめてこの活動を知るみなさんとの懸け橋になりました。

 

 そして新HPを快く手掛けて下さった井上豊明さんの努力のお陰で、ようやく新たな一歩を始められます。あわせて構築から関わって下さった古街道団の運営委員会の中の「新HP検討委員会」のみなさんにも厚く感謝申し上げます。

 

 これを機会に、新たな年齢層の方々も加えた幅広い活動が、どんどん行われていくことを願っております。 (宮田太郎)