大成建設助成事業「古街道の科学検証プログラム」現地踏査会➍
【実施日】2020年9月26日(土)
【調査チームリーダー】宮田太郎(団長)
【参加者】30名
【集合】10時15分
神奈川中央交通バス「野津田車庫バス停」→野津田町小川の広場
【テーマ】
――赤色地図に浮かび上がる野津田の古街道――
“鎌倉古道の三段並列遺構と謎の馬牧跡”
全国でも大変に珍しい、鎌倉幕府と室町時代の鎌倉関東府による「中世軍事駐屯基地」と馬牧跡の可能性が高い野津田公園一帯は、これまで30年以上にわたり膨大な回数の探索会を実施(宮田太郎ガイド)してきたエリア。
しかし、その中心域である3段構造になっている城砦壁面の鎌倉古道痕跡については詳しく時間をかけて大勢で観察したことはありませんでした。
ところが、赤色立体地図には鮮明にその遺構が浮かび上がっていることが判明!
今回は馬牧の馬籠跡の位置確認や形状と合わせて赤色地図から検証していきます。
【コース】
町田市野津田町の「神奈中バス野津田バス車庫バス停前」→野津田町小川の広場に午前10時15分集合~研究初心者が間違えやすい鎌倉道・江戸時代の絵図に記された支線ルート(神学校ルート)検証~華厳院坂の鎌倉古道跡~仮称「上の原城砦」古道壁に刻まれた3段並列する鎌倉古道遺構~第一馬牧跡~城砦尾根~スタジアム前で昼食(11:35~12:15)~のづた三山探索~鎌倉古道上ノ道~上の原グラウンド横のトイレ休憩~飛尾山の下の見張り台付近~上の原遺跡発掘現場~こもれびの路~華厳院坂・鎌倉古道石碑(15:40解散)~野津田バス車庫前バス停
【感想】
野津田・上の原に三段に並列する古道と思われる段差の発見や、崖の断面に現れた硬化層からそれを道の踏み跡と考え、「鎌倉街道上ノ道」と推定し長年検証し続けてきましたが、活動成果も少しずつ知られるようになり、科学的にも検証できればと始めたプログラムが大詰めを迎えました。
また「上ノ道」が残る上の原城砦が、検証によって重要な地であると証明することができれば、歴史とスポーツの公園として今後保存されていくのではという思いもあります。
「昔人の官道敷設方法は?」「町田街道が通る尾根」や「多摩のよこやま道が通る尾根」には、当時集落は形成されていませんでした。
人家の無い荒野に軍隊が通る幅を持つ官道(税金徴収道)を敷設するには、合理的な鞍部を発見し開拓していったと思われます。往時の街道敷設技術者の測量技術や地形・地質の解析には驚かされます。
馬の給水や休憩場所である駅家は30里(16㎞)ごとに設置されていましたが、相模国府から武蔵国府に向かった時の、相模国府近隣駅「浜田駅家」からの距離は長過ぎます。
推定「野津田駅家」(現在神奈中バス「野津田車庫」)辺りがちょうど30里となり、鶴見川が近くを流れていることからも説が成り立つと考えられます。
野津田地域が古代からの交通の要所であったとの証明にもなるでしょう。
今回赤色地図を活用、コースも工夫されており、これまでとは違った見方で検証は進められました。
ー現地探索会の様子ー